標榜診療科に関するオハナシ

 西宮甲東園で平成30年5月に整形外科を開業する予定の佐々木です。

 開院する診療所では、標榜診療科名として「整形外科」と「リハビリテーション科」を掲げる予定にしております。この各科に関するご案内は稿を改めて解説するとして、今回は「標榜診療科」についてご紹介致しましょう。

標榜診療科って何?

 皆さまは、目が真っ赤に充血して病院に行こうとお考えになった際、どこに行かれるでしょう?
多くの方々は、まず近くの目医者さん、つまり眼科を受診なされることでしょう。
これがお子様の場合、小児科へ行かれることが稀にあったとしても、大人であれば胃腸科や耳鼻咽喉科を受診されることはないはずです。

 本来、医師になるためには医学部で一通りのことは学んでいるはずであって、どのような疾病であったとしても対処できるのが理想ではあります。
しかしながら、やはり専門性というのも必要であって、必然的に得意分野というのができてくる。ですので、「得意分野」を伝えるための仕組みが必要になる。

 この、診療所の「得意分野」を分かりやすく伝える役割を果たしているのが「標榜診療科」というシステムです。

 実際、平成18年に医療法が改正された際は、医療広告の規制緩和にともない標榜診療科名の見直しが行われました。これは厚生労働省医政局長の通知にも記載されています。つまり、標榜診療科名の設定は「適切な医療機関の選択と受診を支援する」という公益的目的と「医療機関の広告」という営業目的の二つを同時に満たすとても意義のある制度と言えるでしょう。

標榜診療科は誰が決めているの?

 この標榜診療科名は、医療法関連の政令と省令で細かく規定されています。
政令は「医療法施行令」で、省令は「医療法施行規則」において具体的な記載があります。

 医療法施行令では「広告することができる診療科名」として条文が定められています(第三条の二)。
 
具体的には、内科と外科を基礎としてそこに部位などを組み合わせていくことになります。

 それ以外の診療科としてリハビリテーション科や眼科、小児科、アレルギー科なども規定されています。

 参考までに医療法施行令の第三条の二を引用しておきましょう。

(広告することができる診療科名)
第三条の二 法第六条の六第一項に規定する政令で定める診療科名は、次のとおりとする。
一 医業については、次に掲げるとおりとする。
イ 内科
ロ 外科
ハ 内科又は外科と次に定める事項とを厚生労働省令で定めるところにより組み合わせた名称(医学的知見及び社会通念に照らし不合理な組み合わせとなるものとして厚生労働省令で定めるものを除く。)
(1) 頭頸 部、胸部、腹部、呼吸器、消化器、循環器、気管食道、肛 門、血管、心臓血管、腎 臓、脳神経、神経、血液、乳腺 、内分泌若しくは代謝又はこれらを構成する人体の部位、器官、臓器若しくは組織若しくはこれら人体の器官、臓器若しくは組織の果たす機能の一部であつて、厚生労働省令で定めるもの
(2) 男性、女性、小児若しくは老人又は患者の性別若しくは年齢を示す名称であつて、これらに類するものとして厚生労働省令で定めるもの
(3) 整形、形成、美容、心療、薬物療法、透析、移植、光学医療、生殖医療若しくは疼 痛緩和又はこれらの分野に属する医学的処置のうち、医学的知見及び社会通念に照らし特定の領域を表す用語として厚生労働省令で定めるもの
(4) 感染症、腫瘍 、糖尿病若しくはアレルギー疾患又はこれらの疾病若しくは病態に分類される特定の疾病若しくは病態であつて、厚生労働省令で定めるもの
ニ イからハまでに掲げる診療科名のほか、次に掲げるもの
(1) 精神科、アレルギー科、リウマチ科、小児科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻いんこう科、リハビリテーション科、放射線科、病理診断科、臨床検査科又は救急科
(2) (1)に掲げる診療科名とハ(1)から(4)までに定める事項とを厚生労働省令で定めるところにより組み合わせた名称(医学的知見及び社会通念に照らし不合理な組み合わせとなるものとして厚生労働省令で定めるものを除く。)
【以下省略】

表示できない科名もある?

 法令で表示できる科名が決められているということは、裏を返せば表示できない科名も存在する、ということになります。
最近「ペインクリニック」という言葉が一般化しているようですが、「ペインクリニック」という標榜診療科名は存在しません。ペインクリニックと標榜しているようでもよく見ると「ペインクリニック内科」といった具合に具体的な科名と合わせて表示されていることが一般的です。また、歯科分野ですが「審美歯科」も認められていません。こういった、いわゆる「NG事例」も局長通知で示されています。

どこを受診すればよいのか

 テレビで「胸部外科」という台詞を耳にしたしりますが、胸部以外でも「頭頸部」という単語を冠しても良いとされていますので、そのうち町医者でも「頭頸部外科」といった標榜科名を掲げるところが出てくるかもしれません。
このように、標榜診療科名は適切な医療機関を選択する目安にはなるものの、あまり細分化されるとかえって「どこを受診すれば良いのだろう」と迷う原因にもなります。外科か内科二つしかなければ簡単に判断できるものも、それが20に分類されたら迷ってしまいますよね。

 そういう時のために、かかりつけ医を探しておくことが大切です。
「まずあの先生に聞いてみよう」「とりあえず怪我のことはあそこに行っておこう」

 こんなかかりつけ医がいれば安心です。それに、今は紹介状なしにいきなり大きな病院に行けば5,400円が加算されますので、経済的にも最初はかかりつけ医に行くことがお勧めです。

 当院は地域に根ざした医療活動をしていきたいと考えており、整形外科分野、つまり運動器系の傷病であれば「まずは佐々木へ」と感じて頂ける診療を目指します。開院は本年5月、ご期待ください。