平昌オリンピックのドーピング検査とITA

(この記事は開院前のホームページに開業準備ブログとして掲載していたものです)

 5月から甲東園で整形外科を開業するため準備を行っている医師の佐々木です。

 平昌オリンピック、熱戦がはじまっていますが、日本人選手がドーピング検査で陽性反応を示したという残念なニュースもありました。

ドーピング検査

 このドーピング検査は、WADA(世界アンチ・ドーピング機構)が主体となっており、分析はWADAが認定した機関が担当します。現在、35の機関が認定されていますが、ロシアの機関は国ぐるみのドーピング問題が発覚したこと受け、2015年11月から無期限の資格停止となっています。選手団についてもロシアの選手は国を代表して出場していることになっていないため、国旗の代わりに五輪旗が用いられています。フィギュアスケート団体戦でメドベージェワ選手の国旗マークが五輪旗になっていて「あれ?」と思われた方もいらっしゃったのではないでしょうか。

ITAの始動と遅延

 2017年7月のニュースソースでは、国際オリンピック委員会が、平昌オリンピックまでにWADAや競技団体から独立した新しい検査機関を立ち上げると報道されていました。この新しい機関は「Independent Testing Authority」という名称で、日本ではITAと略してチラホラ報道されています。日本語に訳すと「独立検査機構」とでも言うのでしょうか、ただそれだけでは何を検査するのか分からない気もしますが…。

 このITAは結局平昌オリンピックに間に合わず、東京五輪から動き出すようです。この記事を書いている数時間前に、事務総長が決まったと報道されていました。全然間に合ってなかったのですね。

ドーピング検査の真正を担保するために

 ドーピング検査は厳しく行われます(日本アンチドーピング機構のアスリート向けページに動画での解説がありますので一度ご覧になられると良いでしょう)。そして、その結果は選手に重大な影響を及ぼします。ですので、検査自体の真正もしっかり担保されなければなりません。平昌オリンピックの検査所では24時間態勢の監視カメラを設置するなどの対策がなされているようですが、態勢だけでなく、組織自体の中立性を高めることは選手にとっても良いことであると感じます。

 何はともあれ、厳しいトレーニングを積み、国内の選考会を勝ち抜いてたどり着いた晴れ舞台、アスリートの皆さまには存分に力を出し切り、納得のいく競技をして頂きたいですね。