治療費打ち切りと症状固定日の関係性について

(この記事は開院前のホームページに開業準備ブログとして掲載していたものです)

 5月からアプリ甲東2階で整形外科を開院する医師の佐々木です。
 このブログでは開院前の情報や、平素の執務で感じたことを綴っています。

 先日、法律専門職の方から、保険会社の治療費打ち切りと症状固定日の関係性について質問を受けました。
 本日はこのトピックについて検討してみます。

治療費の打ち切りと症状固定日

 最近、外傷性頚部症候群(いわゆる「むち打ち」)の患者様が任意保険会社の費用負担で通院していらっしゃる場合において、早期に治療費を打ち切られる事例が出ています。この件については当ブログ「いわゆる「むち打ち」における治療費打ち切りへの対応」でも取り上げています。

 そして、治療費を打ち切られた場合の対応は、患者様によって様々ではありますが、一定期間健保通院など、自費負担で通院を継続された後、症状固定として後遺障害の診断を希望されるケースが多いと感じます。

 この時、通常の感覚でいうのであれば、症状固定日は後遺障害のための診断を行った日になります。

 しかし、医療機関の中には治療費打ち切りの日をもって症状固定日とし、後遺障害診断書に記載する通院期間も治療費が保険会社から支払われていた期間のみを記載している所がある、というのです。

時系列的な思考

 そもそも、症状固定というのは医学における概念ではありません。これは保険の論理であって、もちろんそこに合わせていかなければならない部分もあるとは思います。
 しかし、治療費が支払われなくなった時期をもって症状固定日とするのはいかがなものかというのが率直な実感です。この理屈ですと、症状固定時期が保険会社によって左右されることになってしまいます。

 時系列で厳密に考えるのであれば、治療費というのは全く問題にならず、医師と患者の合意によって後遺障害診断を行った時点で症状固定となる。つまり、保険の症状固定という概念は医師の後遺障害診断と表裏の関係にあるべきものではないでしょうか。

後遺障害診断書の記載

後遺障害診断書
 後遺障害診断書が後遺障害の認定実務においてどのように取り扱われているのか、私は詳しくは知りませんし、そこは知る必要もないでしょう。しかし、診断書に限らず、書類というのは事実を反映させたものであるべきだと私は思いますし、その点から考えると、後遺障害診断書の症状固定日は治療費とは無関係に、医師が後遺障害診断書を作成するために診断をした日とすべきです。

書類も丁寧に

 診察と治療だけでなく、書類の作成も医師の大切な仕事の一つです。今勤務しているクリニックでも、はるか遠方から交通事故治療のために通院してくださっている患者様も少なからずいらっしゃいます。
 書類仕事は手間がかかりますし、医師にとっては苦手とも言える分野かもしれませんが、開院するクリニックでも、書類についても細やかに対応し、様々な面から患者様を支えていきたい、と考えています。

※前回の投稿を掲載してみて、画像があった方が内容が映えると感じたので、これからはがんばって画像を挿入していきます。